2005年 10月 04日
こないだスペインに行ったときである。 マドリッドから近隣の観光地に移動するのは長距離バスが便利だった。で、このバス、面白いことに座席指定なのである。最初にトレドにバスで行ったときはそれを知らなかったため、後から来た人に席が違うと指摘されてゴメンナサイした。そのあとセゴビアに行ったときは別のバス会社だったが、システムは同じだった。 切符を買ったときに渡されるレシートのようなぴらぴらの紙きれが切符がわりなのだが、それにバスの出発時刻、バスの番号(同じ時間に二台以上が出ることがある)、そして座席の通し番号がプリントされているのだった。 利用者の多くは地元民ではなく観光客なので、全員がそういうシステムを知っているわけではないが、バスの運ちゃんは特に何も指示しない。適当なところに座っていると、中にちゃんと座席番号どおりに座ろうとする人があらわれ、なんとなく座席指定なのだということが全員に伝わっていくのである。 で、セゴビアから帰ってくる時のことである。私はバスが到着してすぐに乗り込んだのだが、前のほうの席に、30前後とおぼしき日本人女性の二人連れが座っていた。私が真ん中あたりの席に座って出発を待っていると、ティーンエイジャーのスペイン人少年が彼女らに何か話しかけた。 このときの彼女たちの反応というのがだ、「え?なにー?なに言ってるの?」「えー、しらなーい、わかんない~」とお互いにえへらえへらとするのみで、話しかけた少年への返答はナシ。 その少年は仕方なく彼女たちの後ろの席に座ったが、だんだんお客さんが詰まってくると、少年の席に座るべき人が別の席に座り、という具合に席がずれ始めた。やがて、「おまえどけよ」と言われたくだんの少年が「そこのハポネスが言葉わかんなくて」というようなことを説明しているのが聞こえてきた。 まあわしも意地悪いので放っておいたのだが、ここにいたって彼女らも自分達が席を間違っていることに気づいたらしく、こそこそと後ろに移動していった。しかし、すみませんの一言もなかったのが無礼であった。 とくに興味深かったのは、最初に席が違うのを指摘されたときに全くコミュニケーションをとろうという努力をしなかった点である。日本語でもいいから「何ですか」と聞き返せば、多分切符の席の番号を示すなどして状況を説明してもらえたはずなのだ。しかし彼女たちはまったくそういうそぶりを見せなかった。 ひょっとすると若い男の子にいきなり話しかけられてナンパか冷やかしと思ったのだろうか。よくガイドブックに、「ラテン男性は若い女性を見ると積極的に声をかけてくる!」などと書いているからそういう誤解が生まれるのかも知れんが、状況や相手の表情を見ればそれとは違うのがわかっただろう。 海外で日本人観光客を見るとこういうコミュニケーション能力の低さに気づくことがある。よその国の人は言葉がわからないなりに何とか意思の疎通をはかろうとするが、日本人は最初からその努力を放棄する人が少なくない。英語ができるとかできない以前に、こういう言葉も通じない状況でコミュニケーションができるかが「国際化」のバロメーターなんだろか、と考えてしまうのだ。
by mozzy
| 2005-10-04 00:18
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